私立歯学部の偏差値を4大模試で比べる

歯学部受験生や保護者の皆さんが歯学部受験に関して最も関心の高いことは、「歯学部の偏差値ランキング」でしょう。

私立歯学部の偏差値は、模試の受験者の合否調査から導き出されます。模擬試験を主催する予備校などが「歯学部の偏差値」を発表しますが、主な模擬試験として河合塾の全統模試、駿台予備学校の駿台模試、ベネッセの進研模試、東進の東進模試が挙げられます。

私立歯学部受験生や保護者の皆さんは、これらの4つの模試をベースに発表される「歯学部の偏差値ランキング」のいずれかを見ると思います。この４大模試から発表される「歯学部の偏差値ランキング」を見てみましょう。

２０２４年度入試　私立歯学部偏差値ランキング

大学	河合塾	駿台	ベネッセ	東進
北海道医療	42.5	51	45	59
岩手医科	35.0	47	45	45
奥羽	35.0	43	45
明海	40.0	52	48	62
昭和	52.5	50	65	56
東京歯科	55.0	57	59	62
日本（歯）	47.5	52	55	56
日本（松戸歯）	BF	50	50	49
日本歯科（東京）	47.5	47	61
神奈川歯科	35.0	45	45
鶴見	35.0	43	45
日本歯科（新潟）	42.5	44	47
松本歯科	37.5	43	45
朝日	37.5	50	45	58
愛知学院	37.5	53	48	55
大阪歯科	50.0	55	54	66
福岡歯科	BF	51	45	42

河合塾、駿台予備学校、ベネッセがそれぞれ発表する、３つの私立歯学部の偏差値ランキングでは、「私立歯学部で最も難しいとする大学は東京歯科大学」としています。これに対して東進だけが「私立歯学部で最も難しい大学は、大阪歯科大学」としています。

さらに東進は東京歯科大学と明海大学歯学部の偏差値は「同じ」としています。東進以外の「歯学部の偏差値ランキング」を見ると、河合塾は東京歯科大学と明海大学歯学部の偏差値は、１５も差があります。駿台予備学校は５，ベネッセは１１の差を付けていて、3つの「歯学部の偏差値ランキング」では、東京歯科大学と明海大学歯学部の難易度は、「東京歯科大学の方が圧倒的に難しい」としています。

東進だけが、「私立歯学部で最も難しいのは大阪歯科大学で、それに続く2番目は東京歯科大学と明海大学歯学部」としています。

次に、4つの模試からそれぞれ導き出された、昭和大学歯学部と日本大学歯学部の偏差値を見てみましょう。

「昭和大学歯学部と日本大学歯学部のどちらが難しいのか？」について、河合塾とベネッセは「昭和大学歯学部の方が難しい」としていますが、駿台予備学校は、
「日本大学歯学部の方が難しい」とし、東進は「昭和大学歯学部と日本大学歯学部の難易度は同じ」としています。

歯学部受験生の皆さんは、「昭和大学歯学部と日本大学歯学部、どっちが難しいんだろう？」と悩んでしまいそうです。

4つの模試の「歯学部の偏差値ランキング」を少し見ただけで、受験生の皆さんは「どれを信じたらいいの？」と戸惑うでしょう。

私立歯学部の偏差値に、これほど違いが生じるのはなぜでしょう？

まず、「そもそも私立歯学部の受験者数が少ない」と言うことが挙げられます。私立歯学部の受験者数が少ないということは、「それぞれの模試の受験者数も少ない」ということです。模試の受験者数が少なければ、合否データが少なくなり「正確性」が揺らいでしまいます。

こういったことから私立歯学部の偏差値に、「おかしい」と思われることが生じてしまうことがあります。

どの偏差値ランキングが正しい、ということは言えません。歯学部受験生の皆さんは、2つ以上の偏差値ランキングを見て、自分なりに考えるようにしてください。また、メルオンのように私立歯学部入試に詳しい予備校に聞いてみるのもいいと思います。

また、これらの「歯学部の偏差値ランキング」は一般選抜の難易度を表したものです。
学校推薦型選抜（推薦入試）や総合型選抜（AO入試）の難易度を表したものではありません。

例えば、日本歯科大学生命歯学部の学校推薦型選抜の学力試験は、英語だけです。英語に自信があれば、数学や理科に苦手意識があっても関係ありません。一方、同じ日本歯科大学生命歯学部入試でも一般選抜の学力試験は英語、数学または国語、理科１科目となります。英語だけ自信があっても残り２科目が足を引っ張るかもしれません。

日本歯科大学生命歯学部の偏差値は３科目合計の偏差値ですから、推薦入試に当てはめることは出来ません。この点にも注意して、「歯学部の偏差値ランキング」を活用してください。