2020年度
歯学部へ行こう 「入試のポイント」 Vol.2
Shigakubu.net事務局です。今回は、面接試験について2回に分けて解説致します。資料につきましては、大阪医歯学院より提供頂いています。
面接試験は、学力試験では見えない「目的意識」や「適性」を評価する重要な試験で、特に人間の「心」と「命」を預かる立場の専門職を養成する医学部・歯学部においては他学部に比べて大きなウエートを持っています。
医歯系の大学では、勉強はできるが、対人関係がうまくいかなかったり、目的意識が不明確なため継続性がなく、中途で挫折したりする学生が増えています。特に長年の受験勉強からの解放感のためか、多浪生の場合にその傾向が多く見られます。そこで、入学試験において学力以外の要素にも重点を置く大学が増えてきました。その一つが面接試験です。
面接試験では、適性や人間性とともにいかに目的意識をしっかりと持っているかが総合的に判断されます。
医師や歯科医師の適性は学力試験だけでは判断しかねるところがあるため、面接試験で最終的な合否の判断を行います。よって、面接試験を軽く見ていると、痛い目に合ってしまうことがしばしばあります。面接を「参考程度」と公表している大学でさえ、「学科試験の成績がどんなによくても、面接で不合格にする場合がある」とはっきりと明言している入試担当者もいます。決して面接を軽視できないのが現実なのです。
面接試験に対する対策として練習をしっかりと繰り返し行っておくことは、医歯系受験の必須事項です。
礼節・態度・言動は、一夜漬けでは身につきません。人間は、普段から身についた習慣がとっさの場合に出てしまうものです。よって、常日頃から訓練を行い、意図しない質問にもとっさに対応できる力をつけることが大切です。
面接試験はなぜ行われるのか
医学部・歯学部における面接試験は、受験生が本気で医師・歯科医師になりたいという明確な「目的意識」を持っているか、医療人としてふさわしい「適性」を備えているかを判断するために行われます。
大学はどのような学生を求めているか
面接の目的は「目的意識」・「適性」という判断基準で受験生が大学の求める人材であるかどうかを見極めることにあるため、面接においては自分がいかに「大学が求める学生像」に近いかということを印象付けることが何より大切です。
〔目的意識〕
- 医師・歯科医師になりたいと真剣に考えている。
- 医学・医療に強い関心を持っている。
- 学習意欲が高く、熱意・向上心が感じられる。
- 明確な将来像を持っている。
〔適性〕
- コミュニケーション能力が高い。
- 協調性がある。
- まじめにコツコツ努力する真摯さがある。
- 自己管理ができる。
- 人から信頼され、リーダーシップを発揮できる。
- 自学自習能力と問題解決能力がある。
- ルールを守ることができる。
面接者は次の2つの視点で大学が求める人材かどうかを判断しています。
1.社会に貢献できる人材 ・・・良医として信頼され、多くの患者を救う。
2.大学に貢献できる人材 ・・・人一倍勉強して国家試験の合格率を上げる。
〔ポイント〕
面接では医師・歯科医師に対する「目的意識」や「適性」が評価の基準になっていますが、そこには大学に貢献できる人材であるかという視点が、大きなウエ-トを占めているということを認識しておく必要があります。
大学は「目的意識」の明確な人材を優先的に欲しいと考えています。まじめにコツコツ努力するタイプで、何としても医師・歯科医師になりたいという強い意欲・熱意がある人は、他人の何倍も努力してまわりを引っ張る存在になるため、全体の成績向上につながるからです。
また、「適性」の中で特に重要なのは「コミュニケーション能力」と「協調性」です。医学部・歯学部では、友達が多くて皆から好かれている学生ほど成績が良く、皆が仲の良い学年は国家試験の合格率が高いという現実からもわかるように、「コミュニケーション能力」や「協調性」は医療の現場だけでなく、大学における医学教育においても重要な要素となっています。
面接の評価方法
面接の評価方法は公表されないケースが多く、大学によって異なりますが、大きく別けると次の4つになります。
①点数制
面接結果を点数化し、学力試験や小論文・調査書など、他の選抜方法と合わせて総合点で合否を判定する方法で、配点は大学によって様々ですが、面接のウエ-トの大きな大学では逆転合格の可能性もあります。
②段階評価制
面接結果を「3段階」・「5段階」というように段階別に評価し、学力試験や小論文の結果と合わせて合否を判定する方法で、多くの大学がこの段階評価制を採用しています。この評価方法では段階の最低評価(A・B・C・D・Eの5段階でEの場合)になると、学力試験の得点に関わらず、不合格とする大学が多いので注意が必要です。
③重視
面接を「重視する」と表記している大学では、補欠くり上げの際に、面接以外の選考結果で合否の判定が難しい時、面接評価の高い順に合格させることが考えられるので、実際には「段階評価」等の採点基準を設けていると予想されます。
面接を「重視する」としている大学では、「点数制」や「段階評価制」の大学と同等のウエ-トがあると考えられます。
④参考程度
時間が短く、面接者も一人か二人といったケースでは、面接結果が合否を大きく左右することはありませんが、それでも「合・否」の判定は存在します。
この場合も評価が著しく低い場合は不合格となることがあるので、面接時の態度が思わぬ減点の対象とされないように、十分な注意が必要です。
〔合否への影響〕
推薦入試・AO入試・一般入試など、入試の選抜方法によって合否への影響は大きく異なります。基本的に、学科試験が課される入試では、学科試験の成績が最優先なので得点が合格基準を満たしていないのに、面接の評価が著しく高いからといって合格になるということはあり得ません。逆に、学科試験の得点がどれだけ高くても面接の評価が最も低ければ、それだけで不合格になってしまいます。
面接試験が合否にどれだけ影響するかは受験生にとって最も気になるところだと思われるので、自分が受験する大学の面接へのウエートの置き方を判断するポイントを挙げておきます。(例外もあるので、あくまで参考としてください)
- 面接者の人数が多い大学ほど面接のウエートは大きい。
- グループ討論を取り入れている大学は面接のウエートが大きい。
- 面接時間が短い大学は形式だけで、大きくは合否に影響しない。
- 偏差値ランクが高い大学ほど面接のウエートは小さい。