運命は変えられる 夢に向かってススメ!

矯正で抜歯した歯を分割して、歯の中から歯髄を取り出しています。ピンセットで摘まんでいるのが歯髄です。
Q1、抜けた歯は屋根の上や縁の下に投げた方が良いって本当ですか?
願をかけるというかお賽銭を投げるようなつもりで投げることは良いと思います。
私の研究分野ですが、その抜けた乳歯の中に歯髄というものが残っていて、
今は歯髄を医療に使う方法が徐々に確立されてきています。歯髄を保管しておくというのは一つの方法だと思います。
Q2、抜けた歯を医療に使うということですが、その方法は?
この歯の画像を見て頂きたいのですが、一番外側にエナメル質があり、エナメル質の内側に象牙質に囲まれて中に歯髄の組織があります。
例えば歯科医師の先生が「これは虫歯が大きいので神経を抜きましょう」と言ったその神経が歯髄になります。
その歯髄の幹細胞をもう一度体に投与する・移植することでいろいろな臓器や組織が回復するということがわかってきています。
歯科の中では歯の中にある歯髄そのものをもちろん再生できるようになってきましたし、歯の周りの骨が新しくでき、また歯科以外では脊髄損傷の後に歯髄の細胞を移植すると下肢のマヒがある程度抑制できたりなど、有用性が報告されてきています。
Q3、もともと歯科医師として働いていた本田先生は、開業することまで考えておられたそうですが、なぜ研究者の道を歩み始めたのでしょうか?
ねずみの背中に耳を作るという研究発表がありまして、再生医療がブームとなり、耳を作った研究チームが今度は「歯」を作る研究を始めるということで、歯科医師を探していまして、研究費や給料は出せないけど、来ないかという話を頂きました。これは自分の一生の仕事だと考えて、急遽そちらの研究の方に道を変えたのです。
Q4、アメリカハーバード大学の再生医療研究チームの一員になられ、長年の研究の末、世界初の歯の再生という偉業を成し遂げたんですね。歯科医師を目指す人たちに一言お願いいたします

父親も祖父も歯科医師でしたので、もともとは開業するつもりだったのですが、一生やることが見つかったというのは本当に私の人生の中では良かったと思っています。
人と会って、その人の考えを聞くことによって今まで自分が持ってなかったような考えが生まれます。そう考えていくと「運命」はそう決まったものではないですよね。「運命」というのは「宿命」ではなくて変えられるものだと思っていますので、その意識を持って、自分の夢は「夢を実現させること」という「夢」を持って毎日取り組んでもらいたいと思います。
愛知学院大学歯学部 本田教授のお話をお聞きし、 夢を持つことの大切さを改めて認識いたしました。
次回に続く・・・